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2012. 08. 05  
沈黙の春をよみかえしていて、読み飛ばしていた部分で、今改めて気になる箇所をメモっておきます。


癌細胞の発生についてすばらしい説を発表したのは、ドイツのマックス・プランク細胞生理学研究所の生化学者オットー・ヴァーブルグ教授である。ヴァーブルグは、細胞内の複雑な酸化作用の研究に一生を捧げた人だが、その豊かな知識を駆使して、正常な細胞が悪性腫瘍に変わる過程をあざやかに説明してみせた。
 放射能や化学的発癌物質を少量ずつくり返し摂取すると、正常な細胞の呼吸作用が破壊され、エネルギーが奪われる、という。そして、一度こうした状態になると、もう元へはもどらない。じかに毒死せずなんとか生き残った細胞は、エネルギーの損失を取り返そうと動きはじめるが、膨大なATP細胞を生み出す、あのすばらしい循環作用は行えず、発酵という原始的な不十分な方法にたよるほかない。こうして、発酵によってなんとか生きのびようとする時が続く。そのあいだも細胞分裂が行われるから、新しく生まれ変わる細胞はみな変則的な呼吸をする。一度変則的な呼吸をしはじめた細胞は、一年たっても、十年たっても、もっと長い時がたっても、もう二度と正常な呼吸はしない。だが、さんざんな目にあいながらも、失われたいエネルギーを取り返そうと、生き残った細胞は発酵をますますさかんに行っては、補整しはじめる。ダーウィンの言う闘争と同じで、適応力のあるものが生き残っていく。そして最後に発酵だけの力で呼吸と同じエネルギーを生み出すようになる。正常な細胞が癌細胞に変わったと言われるのは、このときなのだ。
 このヴァーブルグの理論で、このほかいろいろな謎が説明できる。癌の潜伏期間がたいてい長いのは、無数の細胞分裂が打撃を受け、呼吸作用が発酵作用におきかわるのに時間がかかるためなのだ。発酵にきりかわるまでの時間は、動物の種類によってさまざまである。。例えば、ネズミでは短く、発癌も早い。人間の場合は長く(何十年という時もある)、悪性腫瘍はゆっくりと進行する。
 発がん物質を少量ずつくり返し摂取する方が、大量に摂取するよりも、場合によっては危険なのはなぜか、これもヴァーブルグの理論で説明がつく。大量なら、細胞はすぐに死んでしまう。少量のときには、細胞は変に痛めつけられたまま生き続け、癌細胞となるからなのだ。発癌物質にはこれくらいなら<安全>という線は引けない。
 また、同じ因子が癌の治療に役立つかと思うと、発癌の原因になったりする。たとえば、だれでも知っている放射線。そのほか、癌の治療に使われるさまざまな化学薬品。なぜこんなに奇妙なことが起こるのか、これもヴァーブルグの理論で説明できる。結局、放射線も化学薬品も、細胞の呼吸作用をきずつける。癌細胞はもともと完全に呼吸できないから、さらにきずつけば死んでしまう。ところが、正常な細胞にこのような傷害をあたえれば、死なないで悪性不腫瘍への道を歩むことになる。~中略~
 ヴァーブルグが定めた規準にあてはめると、おそるべきことに、たいていの殺虫剤が発癌物質そのものになる。十三章に書いたように、炭化水素の塩素誘導体やフェノールの大部分、またある種の殺虫剤は、酸化作用をかき乱し、細胞内のエネルギー生産を邪魔する。そのため、仮眠状態の癌細胞ができることがある。長いあいだひっそりとまどろみ、忘れたころ思いがけず、正真正銘の癌となって火の手をあげる。
癌に至る別の道は、染色体による。・・・・・


「沈黙の春」14章 p268~270  レイチェル・カーソン
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Author:mix hanabi
愛媛県の化学物質過敏症(CS)と電磁波過敏症(ES)の患者会のブログです.

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